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2004年9月22日
「コロコロ変わるあんたこそ、でき損ないだ」
「コロコロ変わるあんたこそ、でき損ないだ」
By マイケル・ムーア
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2004年9月22日(水曜日)
親愛なるブッシュ殿、
もう、わけがわかりませんね。イラク問題でのあんたの立場って、一体何なんで
すか。あんたも、あんたの「パパ」(ブッシュ元大統領)(訳注3)も、それに
ラム爺(ラムズフェルド国防長官)、コンディ(ライス大統領特別補佐官―国家
安全保障問題担当)、コリン(パウエル国務長官)やウォルフィ(ウォルフォ
ウィッツ国防副長官)たち、みんな、いままで数えきれないくらいコロコロ言う
ことを変えてきたでしょ。うちらは、それに追いつこうとするだけで、息が切れ
そう。
あんたやあんたの家族、それに閣僚たちがここ20年くらいの間に言ってきたこ
とって、10件くらいバージョンあるけど、「現在」のあんたの立場はどれなの
かな。
1983~88年「サダム大好き」:1983年年12月19日に、あんたの
「パパ」とレーガンがドナルド・ラムズフェルドを送り出してイラクの独裁者、
サダム・フセインと仲良しミーティングをやりました。ラム爺はとっても幸せそ
うな顔して写真に写ってましたっけ。(注:下記写真URL参照)この訪問から
たった12日後には、何千人ものイラン軍がサダムによって毒ガスで殺されたん
ですよね。あなたの「パパ」もラム爺もその結果に大喜びだったじゃないです
か。だって、その4 カ月後には、また「ドナルド・R氏」がサダムの右腕、タリ
ク・アジズとまたまた仲良し会やってたもん。そういう流れで、アメリカは、信
用供与やら借款やらを介し、イラクが何十億ドル分もの武器や化学兵器を買える
ようにしてやったわけだ。レーガンもブッシュも、イラン・イラク戦争ではぜひ
イラクに勝ってもらいたい、サダムを支持する国は自分たちの盟友だぁ、とか、
アラブ諸国に表明していたそうじゃないの。ワシントン・ポスト紙がそう書いて
いましたよ。
1990年「サダム大嫌い」:1990年にサダムがクウェートを侵略したとき
には、あんたの「パパ」と彼の国防長官ディック・チェイニーはもうサダムなん
かどーでもいー、すでに無用になっちゃってたということで、イラクを攻撃して
クウェートの元の独裁者にちゃんと国を返してあげたっけ。
1991年「サダムは生かしておこう」:その戦争の後、あなたの「パパ」と
チェイニーとパウエルは、シーア派に、応援してやるからサダムに立ち向かえと
けしかけましたね。で、彼らはそのとおりサダムに対する反乱を起こした。だけ
ど、またアメリカの気持ちがコロっと変ったわけ。シーア派がやっとドンパチ始
めたときには、ブッシュ側の心変わりで、結局応援は「しないことに」なった。
そんなわけで、結局彼らはサダムによって大虐殺されてしまったのです。
1998年「サダムなんか殺しちまえ」:1998年に、ラムズフェルド、ウォ
ルフォウィッツ、その他の連中は「アメリカ新世紀プロジェクト(Project for
the New American Century)の一環として、クリントン大統領に対し公開状を出
し、サダム・フセイン打倒を要求しましたよね。
2000年「戦争や他国の国作りには関わりたくない」:それからたった3年し
かたっていない2000年の大統領選挙でアル・ゴアと演説討論したとき、司会
者ジム・レーナーが他国の政権交代のために武力を用いることに対しどういう立
場をとっているのか質問したら、なーんと、あんたは実は完全に平和主義者だっ
たことがわかった。
「えっと、私は、武力の使用については、重大なことだと考えていまして、慎重
な方針で臨むつもりです。アメリカの国は世界のあらゆる人々のために何でも手
を広げることはできないと考えているので、わが国の軍隊を戦地に送り出すこと
については、非常に注意深くなければならないと思います。副大統領(アル・ゴ
ア)と私とでは、軍隊の使い方について意見が異なるようで、彼は他国の国作り
支援をするべきだという考えですが、えっと、私は、こういう他国構築支援のた
めにわが国の軍隊を使うことに対し、非常に慎重な考えを持っています。軍隊の
役割は、勝てる戦争をすることが大切であり、そのためにははじめから戦争が起
きないようにすることだと考えます。ですから、えっと、私は自分の責任という
ものを非常に真剣に受け止めております。」
2000年10月3日
2001年(はじめのうち)「サダムは脅威ではない」:2001年にあんたが
大統領の座についてから、国務長官コリン・パウエルと大統領特別補佐官コンド
リーザ・ライスをカメラの前に立たせて、アメリカ国民にむかってサダム・フセ
インのことは心配しなくてよいと説得してましたね。2人はこう言いました。
パウエル: 「我々は我が国の政策をたえず検討し、制裁がそのような目的にか
なっているか確認する必要があります。この目的は、現在でも、10年前にわが
国がこれを開始した時とまったく同様に重要です。そしてありのままに言います
が、これは効果をあげてきています。彼は大量破壊兵器に関しては、これといっ
た能力もつけていませんし、近隣諸国に対して通常兵器による威力も及ぼし得て
いません。」
2001年2月24日
ライス: 「ただし、サダム・フセインの存在については、あの国が分裂している
ことをお考えください。彼は国の北部に関する支配力をもっておりません。我が
国は、彼の手に兵器が入らないようにすることに成功しており、彼の軍事力は再
建されていません。」
2001年7月29日
2001年(あとになって)「サダムは我々を殺す気だぁー!!」:それから
たった2、3カ月後、9・11事件の数時間だか数日あとには、あんたはオサ
マ・ビン・ラディンなど捕まえる気などさらさらなかった。イラクを爆撃し、サ
ダム・フセインを殺すことしか頭になかっただろう。アメリカの全国民に、大量
破壊兵器が僕らに向けられている、この国に切実な脅威が迫ってる、なーんて訴
えた。いかにもサダムがオサマや9・11に関係があるみたいなことを言って、
アメリカ人全国民をぬけぬけと騙してくれたんだ。そして、国連の許可もなく、
国際法を破ってイラクを侵略した。
2003年「サダムは我々を殺す気はないだろう」:大量破壊兵器が見つからな
かったんで、あんたはイラク侵略の理由を考え直し、後で思いついた別の真新し
い理由に置き換えた。この戦争は、体制転換、イラク解放、イラク人に民主主義
をもたらす戦争だった、なんてね。
2003年 「ミッション、完了」:そう、あんたがそう言うところをみんなが
ちゃーんと見てました。ごまかしは効かないよな。
2004年「あれ、ミッションまだ完了してないな」:今、あんたはイラク侵略
を「破局的成功」だなんて言ってる。(訳注4)あんたがこの戦争につけた今月
の名前が、これね。千人以上もアメリカ人兵士が死んで、イラクは誰一人おちお
ちと暮らせない完全な生き地獄になってしまった。僕たちをこういう状況に引き
ずり込んでおきながら、あんたはそこからどうやって抜け出せるのか見当もつか
ないんだろう。
さて、ブッシュ殿。今度はいつまた心変わりをするおつもりですか?
あんたが「フリップ」だの「フロップ」だのという言葉が嫌いなのは知っていま
すよ。だから、その両方を使うことはやめとこう。実際「フロップ(でき損な
い)」の一言で事足りるもの。あんたはね、結局そんな存在なのさ。とほうもな
く馬鹿でかい破廉恥野郎のタワケもの。この戦争もタワごと、あんたの顧問連中
や彼らがあんたに渡した「機密情報」もみーんなでき損ないのタワごとにすぎな
い。そしてついでに、僕らアメリカ人全員も、世界中の人たちに顔向けできない
でき損ないにしてくれた。でき損ないの三乗だっちゅ~の。
そんなあんたがだぜ、よくも図々しくジョン・ケリーがイラク問題で「立場をい
ろいろ変えた」だなんてほざけるもんだ。僕に言わせりゃ、彼がとった立場は
たったひとつしかありません。あんたを信じたんだ。それが彼のとった唯一の立
場です。あんたは、彼に、そして連邦議会全員に向かって、サダムが大量破壊兵
器を持っているって言ったでしょう。だから、彼だって、そして、あんたに投票
しなかった人たちでさえ、アメリカ人の大多数もあんたの言葉を信じたんじゃな
いか。いいかい、アメリカ人っていうのはね、ジョン・ケリーと同じように、み
んな自分たちの大統領の言葉を信じられるような国に住むことを願っているんだ。
それが、ジョン・ケリーがとった、唯一の立場だった。彼は戦争を支持したわけ
じゃない。彼は、あんたを支持したんだ。それなのに、それなのにだ、あんた
は、彼、そしてこの偉大な国全体をぬけぬけと裏切った。だから、何千万人とい
うアメリカ人たちはこの選挙日に投票場に行くのを待ちきれないでウズウズして
いる。こんなひどい破局的なでき損ないを、僕らの愛すべき大切なホワイトハウ
スから追い出すために。そして僕らや全世界の人々を馬鹿にするようなまねを止
めさせるために。そして、あんたやあんたの手下がやらかした狂乱沙汰も、すべ
て止めてもらうために、だ。
もうこれ以上1分たりとも我慢ならないね。
マイケル・ムーア
Michael Moore
mmflint@aol.com
www.michaelmoore.com
(翻訳:宮前ゆかり/TUP)
[訳注1]「フリップ・フロップ」コロコロ意見を変えるとか、都合のよいよう
になびく無責任な態度を指す言葉。また歩くたびにパタ、パタという音をたてる
ゴムぞうりも「フリップ・フロップ」というので、FOXニュースでケリーを扱
うときには、かならずカラフルなゴムぞうりのアイコンが画面のどこかに出てい
る。このような大衆心理操作手段を駆使するFOXニュース局の政治的背景を分
析したドキュメンタリー映画「Outfoxed」は、DVDで入手でき、平和運動に関
わる市民にとって重要なメディア監視資料のひとつ。なお、「フリップ」だけな
ら「びっくり仰天」、フロップだけなら「情けない負け犬」、または「駄目な
奴」の意になる。
[訳注2]「スラッカー」という言葉には「怠け者」、「いい加減な奴」、「居
候」などのニュアンスがある。主に、ベービーブーム世代の裕福な親に育てら
れ、苦労することなく育ち、政治や世界情勢にあまり興味を示さない20代から
30代の人たちを指し、「Hey, dude」という挨拶や「Coooool」など短い相槌
が、彼らのトレードマークだ。この語調は彼らの親の年代にもしっかり定着して
おり、映画やテレビドラマなどの主流メディアでも必ずテレビやゲームばかりに
熱中してスナックを食べてごろごろしている「スラッカー」タイプの人間が登場
する。「スラッカー」には親のスネをかじる学生、サーファーやスノーボー
ダー、スケートボーダーなどの「遊び人」の他にも、かつてのムーア自身がそう
だったように、貧乏で家族に「迷惑をかけている」目が出ないアーチスト、
ミュージシャン、平和運動活動家などが含まれる。
ムーアは、アメリカの市民権である選挙権をこれまで棄権してきたアメリカの
「多数派」を「スラッカー(怠け者)」と呼んでいる。「人民の、人民による、
人民のための政治」を目指すはずであるアメリカ民主主義の歴史の中で、多くの
人が血を流して勝ち取られてきた市民権をないがしろにしているからだ。それと
ともに、ムーアは、共和党、民主党の2大政党の癒着したアメリカの政治に我慢
がならず、結局これまで長い間選挙権行使を棄権してきた「多数派」に深い共感
と理解を示している。今回の「スラッカー反乱ツアー」はこのようなアメリカ市
民の怠惰を打ち破り、特に戦争の犠牲となる若い世代を選挙に動員するための働
きかけのひとつである。
[訳注3]ブッシュ現大統領は公の場所でも自分の父親(ブッシュ前大統領)を
「Dad」(パパ)と呼び、親離れできない彼の姿を印象づけている。
[訳注4]ブッシュは英語の語彙が非常に少ないことで有名。大統領になって以
来、彼が足りない語彙を補うために勝手に創り出したオカシナ笑える英語を集め
た辞書が出ているくらいだ。この「Catastrophic Success」(破局的な成功)な
どというのも有り得ない英語だが、皮肉なことに、ブッシュ政権のイラク政策を
あらわすよい表現になっているので、なおさらおかしい。
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投稿者 dfsys : 2004年9月22日 21:06
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